足の外来

循環器内科・心臓血管外科によるカテーテル治療、外科治療、創の処置(通院、VAC(自宅での持続吸引ドレナージ))を行っています。また歩き方の指導やスキンケア、むくみに対する弾性ストッキングや弾性包帯による圧迫指導も行っています。弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター(足の専門資格)を持つ医師、看護師、臨床工学技士がともに寄り添います。

下肢静脈瘤

下肢静脈瘤の症状

下肢静脈瘤とは、足の血管(静脈が) 拡張したり、こぶがきて膨らんだ状態のことをいいます。静脈についてる弁が壊れ、血液が逆流・停滞することで起こります。当クリニックでは、患者様のご希望や状態に合わせて最適な治療法を提案し、体への負担、痛みを最小限に抑えた治療を行なっております。

下肢静脈瘤がおこると、次のような症状が現れます。

  • 血管がこぶ状に
    浮き出る
  • だるさ·むくみ
  • こむらがえり
  • かゆみ

さらに長期間放置した場合は次のような症状が現れます。

  • 血栓や炎症による
    持続する痛み
  • 潰瘍ができる
  • 皮膚炎·湿疹·
    色素沈着
  • 肺塞栓症を発症すると
    呼吸困難·突然死

下肢静脈瘤の原因

  • 長時間の立ち仕事

    01.長時間の立ち仕事

    美容師·理容師·調理師·販売員·教師·看護師など、同じ姿勢で立っている時間が長い仕事に従事している方。

  • 妊娠·出産

    02. 妊娠·出産

    妊娠中や出産後に下肢静脈瘤ができることは少なくありません。特に、1人目よりも2人目以降妊娠·出産の回数が増えるほど割合が高くなっていきます。

  • 体質

    03.体質

    遺伝的体質により、下肢静脈瘤になりやすい方もいます。親族に下肢静脈瘤の方は発生頻度が高くなります。

当クリニックでの
下肢静脈瘤治療に
ついて

当クリニックでは、患者様のご希望や状態に合わせて最適な治療法を提案し、体への負担、痛みを最小限に抑えた治療を行なっております。
手術は毎週月曜日、水曜日、金曜日の午前中に施行しています。治療後の外来通院は原則として、術後3日以内、1か月後、3か月後の3回になります。

  • 待ち時間のない完全予約制
  • 負担の少ない日帰り手術
  • 治療時間20分

治療方法

当クリニックでは、下肢静脈瘤に対する全術式を選択可能です。患者様に合わせて、最適な治療方法をご提供いたします。

血管内塞栓術(グルー治療)

新しい治療法です。血管内焼灼術のように静脈を焼かないので、静脈のまわりの広範囲の局所麻酔が必要ありません。
その為、麻酔の痛みがほぼ無く、治療後の回復も早くなります。また、熱による神経障害(しびれ)や深部静脈血栓症も少なくなります。
グルーに対するアレルギー反応や静脈炎が生じる可能性があります。当クリニックは西三河で最初に導入し、現在では愛知県内で最多の症例数を誇ります。

血管内焼灼術(ラジオ波、レーザー)

細いファイバーを静脈の中に通し、高周波で血管の内側から焼く治療法です。静脈は取り出さず、ストリッピング手術と同じ効果が得られます。出血もほとんど起こりません。日帰り施術が可能であり、患者様への負担も軽い非常に有効な治療法です。

血管内焼灼術(レーザー)の動画 血管内焼灼術(レーザー)の動画

硬化療法

静脈を切らずに、静脈に血管を固める薬剤を注射した後に、弾性包帯で圧迫することにより次第に目立たなくさせる治療法です。小さな下肢静脈瘤には効果的な方法ですが、進行した静脈瘤には効果がありません。
また、静脈瘤の再発も比較的多く見られます。

静脈切離手術(高位結紮術)

逆流している血管をしばり、血流を止める手術です。足の付け根や足の裏側を小さく切開して行ないます。
ストリッピング手術よりは再発率が高いとされています。当科では局所麻酔を使用して手術を行っています。

表在静脈瘤切除

表面から目立つ静脈瘤を、1~2mmほどの切開にて切除する方法です。
局所麻酔下で、主に高周波治療との併用で行います。

圧迫療法

弾性(圧着)ストッキングや、弾性包帯などで足を圧迫し、静脈の逆流を防ぐ方法です。この方法は、根本的な治療法では、ありませんが、症状を緩和する場合や 予防するには最適な方法です。

血管内焼灼術を施行した患者様

  • 血管内焼灼術 前

    血管内焼灼術 前

  • 血管内焼灼術 1ヶ月後

    血管内焼灼術 1ヶ月後

  • 血管内焼灼術 3ヶ月後

    血管内焼灼術 3ヶ月後

使用機器

  • 血管内焼灼用高周波治療機器(Medtronic社)

    血管内焼灼用高周波治療機器(Medtronic社)

    下肢静脈瘤の治療に用います。膝周囲にカテーテルを挿入するための小さな創のみで治療を行う事が出来るため傷跡が目立ちません。
    当クリニックでは下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施施設に認定されております。
    (登録番号:H00744)

  • VenaSeal クロージャー

    VenaSeal クロージャー

    最大のメリットは、高周波治療のように静脈を焼かないので、静脈のまわりの広範囲の局所麻酔が必要ありません。そのため、麻酔の痛みがほぼ無く、治療後の回復も早くなります。
    また、熱による神経障害(しびれ)や深部静脈血栓症も少なくなります。デメリットはグルーに対するアレルギー反応や静脈炎が生じる可能性がある事です。

  • ENDOTHERMELASER 1470

    ENDOTHERMELASER 1470

    レーザー治療は、正確には“血管内レーザー治療(EndoVenous Laser Ablation:EVLA)と言います。
    下肢の内側に局所麻酔を注射し、静脈の中に細いレーザーファイバー(1470nm)を通して、レーザーの熱によって静脈を塞いでしまう“低侵襲治療”です。

累計下肢静脈瘤
手術件数

当クリニックでは豊富な治療実績があります。

2018年2019年2020年2021年2022年合計
血管内焼灼術311件341件288件207件159件1357件
血管内塞栓術28件64件104件196件
硬化療法204件137件71件114件62件606件
瘤切除27件41件13件15件5件103件
高位結紮6件2件4件5件4件22件

開院から2022年12月までの手術累計件数です。

※横にスクロールできます。

よくあるご質問

下肢静脈瘤手術についての
よくあるご質問

手術による合併症はありますか?
当クリニックで行われている高周波治療は確立された手法であり、安全性も非常に高いですが、場合によっては下記のような合併症が生じることがあります。
疼痛 / 出血、皮下出血 / 皮膚知覚障害 / 痺れ / 血管損傷 / 創部感染 / 深部静脈血栓症、肺塞栓症 / リンパ漏 / 下肢浮腫 / 熱傷 / その他の予期せぬ合併症
これらの合併症は、時間経過に伴って軽快していくことがほとんどです。
手術後の注意点は?

静脈瘤を発症·進行させないために、次のような注意を守ることが大切です。

長時間の立位をさける

長時間立ち仕事をする人は、1時間したら5分~10分は、足を心臓より高くして休憩することがよいです。
しかし、普通は休憩がとりにくい人が多いので、足ふみをしたり、歩き回ったり、屈伸運動をするなどして、足の筋肉を使いましょう。
筋肉を使うことで、血行がよくなります。

弾性ストッキングを着用する

静脈瘤がなくても、長時間の立ち仕事などをする方は、弾性ストッキングを装着することをお奨めします。
この場合は、予防的なので、医療用弾性ストッキングより効果は劣りますがドラッグストア等で市販されている弾性ストッキングを使用しても良いと考えます。
静脈瘤がすでにある方や静脈瘤の手術を行った方は、医療用弾性ストッキングを使うことお奨めします。

就寝時の下肢の挙上

お家で休むときや就寝時には、クッションなどを使って足を心臓より高くして休みましょう。
ただし、心臓の病気がある方は、心臓に負担がかかることがありますので注意が必要です。

患肢の清潔、保護

静脈瘤があると、足に湿疹や痒みなどが現れやすくなります。
足を常に清潔にし、掻きキズや外傷を避け、色素沈着や潰瘍をつくらないようにしましょう。

妊娠と静脈瘤

静脈瘤は妊娠時によく発生します。妊娠中に少しでも足の血管が浮くようなら弾性ストッキングの使用をお奨めします。
静脈瘤には遺伝的な要素も関係しますので、
静脈瘤のあるお母さんは、娘さんの妊娠中、とくに足に気をつけてあげるとよいでしょう。

閉塞した静脈はどうなるのですか?
徐々に細くなっていき、4~6か月で体に吸収されます。
静脈を閉塞させても問題ないのですか?
問題ありません。体の深い部分にも静脈が存在しているので、血液はそちらを流れて心臓に戻ります。
再発の可能性はありますか?
長期間(数年以上)たつと、まれに再発することがあります。仮に再発した場合も、自覚症状に乏しいことが多く、また、再治療も可能です。
日常生活は問題なく過ごせるでしょうか?
家事や家庭内のことは手術当日から可能です。事務系の仕事は翌日から再開できますが、激しい肉体労働や長時間の立ち仕事は、2~3日後から開始することをお勧めします。

下肢動脈疾患(PAD)

主に末梢動脈疾患(peripheral artery disease:PAD)と下肢閉塞性動脈疾患(lower extremity artery disease: LEAD)に対して、内科医が得意とするカテーテル治療、血管外科医が得意とするバイパスや血栓内膜摘除など、末梢血管に関する総合的な診療を行います。

慢性静脈不全(CVI)

聞きなれない病気ですが、怪我、腰痛、膝痛などで歩き方がぎこちなかったり、車イスに乗っておられる方に多く、ひどく足がむくんでいます。スネから足首の辺りに湿疹、発赤、痛みが出てきて、薬を塗っても治らなかったり、小さい引っかき傷が広がって治らなくなったり、そこから汁が出て止まらなくなったりします。これは静脈血が心臓に返れず足に溜まってしまい、筋肉や皮膚の血の巡りが悪くなって起きる病気です。

症状

むくみ、湿疹、発赤、痛み(静脈うっ滞性皮膚炎)、治りにくい傷(潰瘍)
進行すると痛くて歩けなくなり治療に1~2年かかることもあります。

治療方法

圧迫療法(弾性包帯や弾性ストッキング)、スキンケア、リンパマッサージ、運動療法が主体ですが、不適切な処置の場合悪化することもあります。ご心配な方は一度、当院外来でご相談ください。

症例写真

症例写真 症例写真

むくみ、湿疹、発赤、痛み(静脈うっ滞性皮膚炎)、治りにくい傷(潰瘍)進行すると痛くて歩けなくなり治療に1~2年かかることもあります。

深部静脈血栓(DVT)

下肢の深い部分を走行する静脈に血栓ができる病気です。原因は、入院中や飛行機などで長時間動かないこと、妊娠、肥満、骨折、手術後、脱水症、喫煙、ピルの内服、癌がある、などがあります。血栓が心臓・肺まで飛んでつまった状態を肺塞栓症と呼び、重症です。飛行機の搭乗で起こる場合をエコノミークラス症候群とも呼びます。

症状

症状は、痛みやだるさ、腫れ、色調の変化などが代表的です。
問診や診察、採血検査で疑われ、エコー検査や造影CT検査などで診断が確定します。

治療方法

治療は、血液がサラサラになる注射や飲み薬ですが、下大静脈フィルター(カテーテル治療)を留置することもあります。
心配な方、症状のある方は当院外来を受診してください。

その他

以下の診察も可能です。
*皮膚科、整形外科、神経内科など、他診療科の疾患の場合は、連携する専門病院へご紹介させて頂きます。

  • 外反母趾
  • 陥入爪
  • 蜂窩織炎
  • 皮膚炎
  • 膝関節症
  • 腰椎症
  • 外傷後後遺症