当院での静脈瘤治療の方針

1.患者様のご希望に合った治療法を提案し、体への負担、痛みを極力抑えた治療を行います。

2.お待たせすることのないように、予約制です。

3.治療時間は約20分です。

4.すべて日帰り手術です。

5.治療後の外来通院は、原則として術後3日以内、1か月後、3か月後、1年後の4回になります。

  1. (1)下肢静脈瘤とは??

    下肢静脈には、筋肉の中を走る「深部静脈」と皮膚と筋肉の間を走る「表在静脈」があり、静脈瘤ができるのは皮膚に近い伏在静脈と呼ばれる表在静脈です。

    下肢の静脈には足先へ逆流しないように弁がついていますが、それらの弁が壊れると血液の逆流がおこり、足に血液が停滞し、その圧力で静脈が拡張したり、蛇行したりしてコブ(瘤)ができます。これが、静脈瘤です。 

     
  1. (2)下肢静脈瘤の原因は?? 

    下肢静脈瘤ができる原因はいくつかありますが、その中でも、“下肢静脈瘤の3大要因”とされているのは次のものです。

    ●長時間の立ち仕事
    美容師・理容師・調理師・販売員・教師・看護師など、同じ姿勢で立っている時間が長い仕事に従事している方は、下肢静脈瘤が発症しやすいとされ、また、進行もしやすいとされています。

    ●妊娠・出産
    妊娠中や出産後に下肢静脈瘤ができることは少なくありません。特に、1人目よりも2人目、3人目というように妊娠・出産の回数が増えるほど下肢静脈瘤になる割合が高くなっていきます。

    ●体質
    遺伝的体質により、下肢静脈瘤になりやすい方もいます。親族に下肢静脈瘤の方は発生頻度が高くなります。

  1. (3)下肢静脈瘤の症状は??

    下肢静脈瘤がおこると、次のような症状が現れます。

    ●外見上の問題
    ・見た目に正常な血管ではない状態と一見してわかるため心配になる。
    ・見た目がとても気になる。女性の場合、スカートがはけない。裸足になれない。

    ●自覚症状
    ・足がだるくなったり、浮腫みやすくなったりします。
    ・歩行時や就寝時に足がつったり、かゆみが出ることもあります。

    ●進行した静脈瘤(長く放置した場合)
    ・皮膚炎や湿疹がでることがあります。色素沈着が見られる。皮膚潰瘍になる。
    ・足が茶色くなり、潰瘍ができることもあります。
    ・静脈瘤内に血栓ができて炎症(血栓性静脈炎)を起こし、発赤疼痛が出ることがあります。

    ●深部静脈血栓症
    ・深部静脈に血液が溜まっていると血栓という血の塊ができることがあります。これを深部静脈血栓症といい、足に持続する痛みと、下肢の腫脹と浮腫をおこします。

    ●肺塞栓症・エコノミークラス症候群
    ・深部静脈の血栓が血流によって肺動脈に詰まると肺塞栓症とういう病気になります。非常に希な病気ですが、重症の場合、呼吸困難や血圧低下をおこし、突然死します。
    長時間、飛行機など移動するときにおこるエコノミークラス症候群も同様の機序でおこります。
    静脈瘤がある人で、海外旅行に出かける場合、長時間のドライブ、大きな手術を受けられる場合は特に注意が必要です。

  1. (4)下肢静脈瘤の検査は??

    静脈瘤を診断するための検査は、下肢の静脈超音波検査で行います。検査は、立位で行います。検査に伴う疼痛などはありません。

  1. (5)手術の目的は??

    手術の目的は、静脈瘤の原因となっている静脈の血流れを止めて、そこに繋がる静脈の血圧を低くすることで、足の見た目の改善や症状の軽減を行うことです。

  1. (6)どのような治療法がありますか??

    ●圧迫療法
    弾性(圧着)ストッキングや、弾性包帯などで足を圧迫し、静脈の逆流を防ぐ方法です。
    この方法は、根本的な治療法では、 ありませんが、症状を緩和する場合や 予防するには最適な方法です。

    ●硬化療法
    静脈を切らずに、静脈に血管を固める薬剤を注射した後に、弾性包帯で圧迫することにより次第に目立たなくさせる治療法です。小さな下肢静脈瘤には効果的な方法ですが、進行した静脈瘤には効果がありません。 また、静脈瘤の再発も比較的多く見られます。

    ●ストリッピング治療(静脈抜去術)
    古くから行われている再発率の低い根治的な手術とされています。静脈瘤を起こしている血管を、ストリッパーという器具を使って引き抜く治療法です。
    入院加療が必要となることがあります。

    ●静脈切離手術(高位結紮術)
    逆流している血管をしばり、血流を止める手術です。足の付け根や足の裏側を小さく切開して行ないます。ストリッピング手術よりは再発率が高いとされています。当科では局所麻酔を使用して手術を行っています。

    ●高周波治療
    最新の治療法です。細いファイバーを静脈の中に通し、高周波で血管の内側から焼く治療法です。静脈は取り出さず、ストリッピング手術と同じ効果が得られます。出血もほとんど起こりません。日帰り施術が可能であり、患者様への負担も軽い非常に有効な治療法です。

    ●表在静脈瘤切除
    表面から目立つ静脈瘤を、1~2mmほどの切開にて切除する方法です。
    局所麻酔下で、主に高周波治療との併用で行います。
    どの治療方法を選択するかは、下肢の静脈エコーを行って、静脈の太さ、静脈血の逆流の程度、原因血管の特定を行い判断します。

  1. (7)手術合併症は??

    当クリニックで行われている高周波治療は、確立された手法であり、安全性も非常に高いですが、場合によっては、下記のような合併症が生じることがあります。

    ● 疼痛
    ● 出血、皮下出血
    ● 皮膚知覚障害
    ● 痺れ
    ● 血管損傷
    ● 創部感染
    ● 深部静脈血栓症、肺塞栓症
    ● リンパ漏
    ● 下肢浮腫
    ● 熱傷
    ● その他の予期せぬ合併症

    これらの合併症は、時間経過に伴って軽快していくことがほとんどです。

  1. (8)手術後の注意点は?

    静脈瘤を発症・進行させないために、次のような注意を守ることが大切です。

    ●長時間の立位をさける
    長時間立ち仕事をする人は、1時間したら5分~10分は、足を心臓より高くして休憩することがよいです。しかし、普通は休憩がとりにくい人が多いので、足ふみをしたり、歩き回ったり、屈伸運動をするなどして、足の筋肉を使いましょう。筋肉を使うことで、血行がよくなります。

    ●弾性ストッキングを着用する
    静脈瘤がなくても、長時間の立ち仕事などをする方は、弾性ストッキングを装着することをお奨めします。この場合は、予防的なので、医療用弾性ストッキングより効果は劣りますがドラッグストア等で市販されている弾性ストッキングを使用しても良いと考えます。
    静脈瘤がすでにある方や静脈瘤の手術を行った方は、医療用弾性ストッキングを使うことお奨めします。

    ●就寝時の下肢の挙上
    お家で休むときや就寝時には、クッションなどを使って足を心臓より高くして休みましょう。ただし、心臓の病気がある方は、心臓に負担がかかることがありますので注意が必要です。

    ●患肢の清潔、保護
    静脈瘤があると、足に湿疹や痒みなどが現れやすくなります。足を常に清潔にし、掻きキズや外傷を避け、色素沈着や潰瘍をつくらないようにしましょう。

    ●妊娠と静脈瘤
    静脈瘤は妊娠時によく発生します。妊娠中に少しでも足の血管が浮くようなら弾性ストッキングの使用をお奨めします。静脈瘤には遺伝的な要素も関係しますので、静脈瘤のあるお母さんは、娘さんの妊娠中、とくに足に気をつけてあげるとよいでしょう。

  1. Q1:どのような治療法がありますか?

    A1:静脈瘤の原因となっている大伏在静脈や小伏在静脈を抜去する方法(従来はほとんどがこの方法でした)や、血管内から高周波やレーザー光線を照射して、血管を閉塞させる治療法があります。また、皮膚近くの細い静脈瘤に対しては、直接静脈瘤を切除したり、硬化療法(硬化剤という薬にて血管を閉塞させる方法)や、皮膚表面からレーザーをあてて治療する方法があります。

    高周波カテーテルによる治療硬化療法

  1. Q2:高周波治療とは、どのような治療法ですか?

    A2:静脈瘤の原因となっている太ももやふくらはぎの静脈の中に細い管を通して、静脈の中から高周波を照射することによって、静脈を閉塞させる治療です。故意的に静脈を焼灼させて、血流をなくしてしまいます。
    高周波カテーテル治療 高周波カテーテル治療

  1. Q3:高周波治療の良い点はなんですか?

    A3:高周波治療(血管内焼灼術)は、出血や術後の痛みが軽度であり、患者様への侵襲が少なく、短時間の手術で大きな効果が得られる治療です。手術後は、基本的には独歩で日帰りできます。
    高周波治療

  1. Q4:閉塞した静脈はどうなるのですか?

    A4:徐々に細くなっていき、4~6か月で体に吸収されます。

  1. Q5:静脈を閉塞させても問題ないのですか?

    A5:問題ありません。体の深い部分にも静脈が存在しているので、血液はそちらを流れて心臓に戻ります。
    体の深い部分にも静脈が存在

  1. Q6:見た目にボコボコした血管も、すぐになくなりますか?

    A6:見た目にボコボコした血管は、多くの場合、静脈瘤の原因となっている太ももの血管や、ふくらはぎの血管につながっているため、高周波によりその原因となっている血管を閉塞させることで、徐々に目立たなくなっていきます。
    完全に目立たなくなるまでには、3か月から1年ほどかかる場合もあります。
    高周波の治療時に、ボコボコした血管も同時に切除すれば、より早く目立たなくなっていきます。しかし、広範囲に目立つ血管をすべて一度に切除するには、多くの傷を足につける必要があるため、原則として大きく目立つ静脈瘤のみの切除としています。残りの静脈瘤は、弾性ストッキングによる圧迫にて経過観察をしていきます。経過観察後にも残存する静脈瘤には、その時点で静脈瘤切除や硬化療法の適応を考慮します。

  1. Q7:再発は起こりますか?

    A7:長期間(数年以上)たつと、まれに再発することがあります。仮に再発した場合も、自覚症状に乏しいことが多く、また、再治療も可能です。

  1. Q8:日常生活は問題なく過ごせるでしょうか?

    A8:家事や家庭内のことは手術当日から可能です。事務系の仕事は翌日から再開できますが、激しい肉体労働や長時間の立ち仕事は、2~3日後から開始することをお勧めします。

  1. Q9:費用はどの程度かかりますか?

    A9:保険診療が可能なので、3割負担の方で片脚約4万6千円(1割負担の方では約1万2千円)になります。これに加えて、手術前後の検査や診察費用が別途かかります(全額費用で片脚約6万円になります)。

  1. Q10:安全な治療ですか?

    A10:安全性の高い治療です。当院では、厚労省より義務付けされた専門講習を受け、下肢静脈瘤血管内焼灼術の実施医、指導医の資格を持つ医師が治療を担当します。